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「そういえば、これでアルセストって読む?」
CDのジャケットを指差して言った。
「ええ。そうですよ」
樹はもう笑顔だった。
「じゃあ、こっちは?」
今度は姓の部分を指差した。
「アルカデルトと読みます」
「じゃあ、君はアルベール・アルカデルトなんだね」
「そうですね。フランスではそう呼ばれていました」
「そっか。…ここでは樹だね。大沢樹」
「はい」
樹は嬉しそうに微笑んだ。
そういえば、「遼」の時も、二人きりだったら「樹」って呼んで欲しいって言ってたっけ。
「樹、自分の名前好きなんだね」
何となく思ったからそう言った。
「ええ。単が付けてくれた名前ですから」
やっぱり樹、単さんのことをちゃんと父親として思ってるんだ。
じゃあ、どうして?
一つ、疑問があった。
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