第3章

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「そういえば、これでアルセストって読む?」 CDのジャケットを指差して言った。 「ええ。そうですよ」 樹はもう笑顔だった。 「じゃあ、こっちは?」 今度は姓の部分を指差した。 「アルカデルトと読みます」 「じゃあ、君はアルベール・アルカデルトなんだね」 「そうですね。フランスではそう呼ばれていました」 「そっか。…ここでは樹だね。大沢樹」 「はい」 樹は嬉しそうに微笑んだ。 そういえば、「遼」の時も、二人きりだったら「樹」って呼んで欲しいって言ってたっけ。 「樹、自分の名前好きなんだね」 何となく思ったからそう言った。 「ええ。単が付けてくれた名前ですから」 やっぱり樹、単さんのことをちゃんと父親として思ってるんだ。 じゃあ、どうして? 一つ、疑問があった。
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