第3章

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「巴、今日は疲れたでしょう。もう寝ましょうか」 時計の針は11時を指していた。 「そうだね」 言ったものの、僕は忘れていたんだ。 今日から樹のベッドに一緒に寝るってことを…。 僕は一人でドキドキしてるのに、樹はオーディオを止めて、もうベッドに座っていた。 「巴? 早くいらっしゃい」 呼ばれて、樹の隣に寝転んだ。 樹のベッドは無駄に大きいから、二人で寝ても余裕。 前に、どうしてベッドがこんなに広いのか訊いたら、「寝相が悪いんです」って言ってた。 そんなに寝相悪いような感じじゃなかったけどな…あの時は。 樹とこのベッドに寝るのは今が初めてじゃなくて、一回経験済み。 あの時は樹と初めてした時で…そんなことを思い出してしまったから、余計ドキドキした。 「電気、消しますね」 樹がそう言って、リモコンのボタンを押した。 この部屋、電気がリモコンで消せるのか。 そのハイテクさに感心していたら、キスをされた。 「巴、おやすみなさい」 「おやすみ、樹」 樹に抱き寄せられて、僕は樹の腕の中にすっぽり収まる形になった。 樹が温かい。 鼓動も伝わってくる。 抱き締められるのには慣れてるはずなのに、ドキドキが止まらない。 眠れる予感は全くしなかった。
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