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「巴、今日は疲れたでしょう。もう寝ましょうか」
時計の針は11時を指していた。
「そうだね」
言ったものの、僕は忘れていたんだ。
今日から樹のベッドに一緒に寝るってことを…。
僕は一人でドキドキしてるのに、樹はオーディオを止めて、もうベッドに座っていた。
「巴? 早くいらっしゃい」
呼ばれて、樹の隣に寝転んだ。
樹のベッドは無駄に大きいから、二人で寝ても余裕。
前に、どうしてベッドがこんなに広いのか訊いたら、「寝相が悪いんです」って言ってた。
そんなに寝相悪いような感じじゃなかったけどな…あの時は。
樹とこのベッドに寝るのは今が初めてじゃなくて、一回経験済み。
あの時は樹と初めてした時で…そんなことを思い出してしまったから、余計ドキドキした。
「電気、消しますね」
樹がそう言って、リモコンのボタンを押した。
この部屋、電気がリモコンで消せるのか。
そのハイテクさに感心していたら、キスをされた。
「巴、おやすみなさい」
「おやすみ、樹」
樹に抱き寄せられて、僕は樹の腕の中にすっぽり収まる形になった。
樹が温かい。
鼓動も伝わってくる。
抱き締められるのには慣れてるはずなのに、ドキドキが止まらない。
眠れる予感は全くしなかった。
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