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「単さん、大丈夫?」
「ん?」
今度は英語に取りかかっていた樹が、手を止めて顔を上げた。
「何か、やつれてない?」
「ああ、そうですねぇ。夏頃から深酒するようになりましたが、最近、頻度が高いです」
「何かあったのかな?」
「単は何も言いませんが、何があったのかは大体予想がついています」
「へえ?」
「でも、まあ、本人の問題です。単がどうにかしようと思わない事にはどうしようもありません」
樹はそう言うと、再び英語の宿題をやり始めた。
英文にさっと目を通し、スラスラっと綺麗な筆記体で答えを書いていく。
もちろん、辞書なんて使わない。
樹は日本語と英語とフランス語は不自由なく使えるんだそうだ。
漢字は少し苦手なんだけど。
まぁ、ハーフだし、フランス生まれで中学卒業までフランスで育ったし、教育係も付いていたそうなので、本人曰く、普通。
その、育った環境が普通じゃないと思うんだけどさ。
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