第3章

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泣いているのか、樹の肩は震えていた。 ずっと君はそうやって自分を責めて…。 バイオリンを止めたのも、アルセストさんに怪我をさせてしまった責任を感じてのことだろう。 でも、君は悪くないなんて言ったって、きっと樹は救われないんだ。 何て言ったらいいのか、言葉が見つからなくて、ひたすら樹を抱き締めるしかなかった。 「巴、ありがとう」 突然、樹が言った。 「え? 僕、何もしてない…」 僕が言ったら、樹は腕の中で首を横に振った。 「ずっと抱き締めていてくれたじゃないですか」 「ああ…ごめん。このくらいしかできなくて」 「いいえ。ありがとうございます。落ち着きました」 腕から抜け出そうとしている樹を、きつく抱き締めて止めた。 樹だって、誰かに甘えてもいいと思ったんだ。 「今日はこのままがいい」 「巴?」 「たまにはこういう時があってもいいと思う」 「…ありがとう」 樹が大人しくなったから、僕は樹の背中をトントンするのを再開した。 そのうち、穏やかな寝息が聞こえたから、僕も眠りに就いた。
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