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「ね、樹。もしかして…」
「待って。龍司さんの所に行ってみましょう」
樹の後について、別の部屋に行った。
廊下を挟んで、リビングの向かいの部屋だ。
中には何と、グランドピアノとバーカウンターがあった。
龍司さんはピアノの前で呆然と立ち尽くしていた。
ああ、しまった…。
一瞬思った。
でも、僕たちの方を振り向いた龍司さんの顔は真っ赤だったんだ。
「…龍司さん?」
「単さんが…」
その先が続かない。
「落ち着いて下さい」
樹が水を一杯汲んで差し出した。
龍司さんは、水を一気飲みして、
「俺、単さんとキスしちまった…」
そう言った。
と、いうことは…。
「うまく行ったんだね」
僕の言葉を聞いて、龍司さんはうなずいた。
「よかったね」
「ありがとな」
龍司さんは本当に幸せそうだった。
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