第4章

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「ね、樹。もしかして…」 「待って。龍司さんの所に行ってみましょう」 樹の後について、別の部屋に行った。 廊下を挟んで、リビングの向かいの部屋だ。 中には何と、グランドピアノとバーカウンターがあった。 龍司さんはピアノの前で呆然と立ち尽くしていた。 ああ、しまった…。 一瞬思った。 でも、僕たちの方を振り向いた龍司さんの顔は真っ赤だったんだ。 「…龍司さん?」 「単さんが…」 その先が続かない。 「落ち着いて下さい」 樹が水を一杯汲んで差し出した。 龍司さんは、水を一気飲みして、 「俺、単さんとキスしちまった…」 そう言った。 と、いうことは…。 「うまく行ったんだね」 僕の言葉を聞いて、龍司さんはうなずいた。 「よかったね」 「ありがとな」 龍司さんは本当に幸せそうだった。
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