第1章

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その、普通じゃない環境っていうのは、つまり、お金持ちってこと。 樹のお母さんはフランスの大きな会社の社長令嬢だし、お父さん…つまり、単さんは更に凄くて、生まれた家は大きな財閥のトップの家系。育った家は総合病院の院長の家。 単さんの振る舞いがきちんとしているのはもちろんの事、樹だって、姿勢は良いし、振る舞いは優雅だ。 こんな、絵に描いたような大沢親子。 単さんはともかく、樹の金銭感覚はすっごく庶民的なんだけどね。 そこがいい所だと思ってしまう僕って…。 「さ、巴。仕事の時間ですよ」 樹がそう言ったので、僕たちは席を立って、ロッカーのある更衣室に着替えに行った。 僕は皿洗いだから白いコック服みたいなのを着るだけでいいけど、樹はそうはいかない。 樹はウェイターをしているから、学校にバレないように、少し、変装をしているのだ。 変装と言っても、どっちかというと元に戻る感じなんだけど…。
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