職場の先輩

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そんな状態だから一人で返すわけにもいかないけど、先輩は家族が待ってるからと、帰るといってきかない。 しかたなく社長命令で俺と、もう一人の同僚で送っていくことになった。 同僚は下戸で車に乗ってきていたので、その車で先輩のうちまで行くことになった。 (本当は同僚だけが送っていけといわれたのだけど、見捨てられずついていった) 先輩はどっから見ても酔いつぶれてるってのに、いつの間にか持ち帰りを頼んでて、 それをしっかり抱えてたのを覚えてる。先輩の家につくと、当たり前なんだけど家の中は真っ暗。 いくらか回復してた 先輩は「もう寝ちゃってるなー」といって笑った。 お茶くらい出すからというのを、とっくに日付も変わってるしと断っていると トタタタタタ ガチャ  玄関が開いた。 「なんだー、起きてたのか。お土産あるぞー」と、どこか嬉しそうな先輩。 真っ暗な家に入っていく先輩に俺らは、それじゃといって車に乗り込んだ。車の中でガチガチ震えてる俺ら。 「……なあ、先輩は、一体なにと住んでるんだ?」 今でも先輩は、誰も写ってない奥さんと娘さんの写真を見せてくれる。
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