夏本番

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S県で開会式が終わった頃、N県でも開会式が終わり翔南高校の選手達は武田監督のまわりに集まっていた 「全員集まったな? え~… 今日から甲子園への切符を賭けた夏の大会が始まる。一発勝負、負けたらそこで終わりだ。特に三年生にとっては最後の大会になる… 一試合一試合、しっかり集中していくように」 『はい!』 選手達が返事をすると武田監督はよし!と頷く 「それじゃあ、帰って練習だな。中原は引き続きデータ集めを頼むぞ」 「はい。わかりました」 裕香がそう返事をすると武田監督は再び頷く 「よし。うちは二回戦からの登場だから、しっかり調整するぞ。この後学校で練習だ。サボるなよ」 武田監督はそう言って車へと乗り込み、選手達は荷物を持って学校へと向かうのだった その頃、北浜高校のバス内では選手達がはしゃいでいた 「すげぇ人だったなぁ」 「あんな人がいる中で試合するなんて緊張するな」 誰かがそう言うと一番前に座っていた橋詰監督が口を開く 「おいおい… 去年まで野球部もなく、初出場の無名校の応援に誰が来るんだ?」 その橋詰監督の言葉に選手達は顔を見合わせる 「それもそうだな…」 「学校内でさえ、オレ達影薄いもんな~…」 「スポーツに力入れてる訳でもないし、学校のみんなもあんまり興味ないかも…」 選手達がそう言って表情を暗くするなか、橋詰監督が再び口を開く 「そんな暗い顔をするな。お前たちの頑張りにもよるが、勝ち上がれば自然と注目も集まる…」 「初出場校が甲子園に出れば注目の的って訳ですね?」 辻川がそう聞くと橋詰監督は小さく頷く 「まぁ… そうだろうな…」 「よっしゃ! オレ達の目標は甲子園出場だったよな?」 「ちょうどいいじゃねぇか。甲子園行って注目集めようぜ!」 そう言って選手達は再び盛り上がる それを見て橋詰監督は苦笑いで口を開く 「現実はそんなにあまくねぇぞ~ 聞いてるか?」 橋詰監督がそう言うが、選手達は聞こえていないかのようにはしゃいでいる 「聞いちゃいねぇな… オレもアイツらも経験のない中でどこまでいけるか… 初戦は明日だ。頑張らねぇとな」 橋詰監督はそう呟きながら、無邪気にはしゃいでいる選手達を見つめるのだった
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