夏本番

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N県大会開会式の翌日、いくつかの球場で一回戦の試合が行われていく その中の一試合、北浜高校 対 信香安高校の試合が組まれていた どちらも初出場のため、あまり注目されてはいなかった 辻川はガラガラのスタンドを見て驚愕する 「誰もいねぇじゃん!」 「だから、昨日監督も言ってただろう? 初出場同士の対戦に、誰が好き好んで観に来るんだよ…」 キャッチャーの坂本がそう言うと、その後ろにいた自称最強二・遊間コンビの中川と横井家が口を開く 「それに、うちの学校の連中はスポーツに興味ないヤツばっかみたいだから、応援なんて来ないだろうな」 「それ以前に、野球部が活動してること自体知らないんじゃないか?」 2人がそう言っていると、橋詰監督がベンチから声をかける 「ほらお前ら、無駄話してないでしっかり体動かしとけよ。実戦は久し振りなんだから、油断してるとコロッと負けるぞ」 橋詰監督がそう言うと辻川は大きく胸を張る 「大丈夫ですよ橋詰監督。この試合ビシッと大勝して、北浜高校の名前を世間に知らしめてやりますよ」 「そ、そうか…」 妙に自信満々な辻川の言葉を聞いて橋詰監督は複雑な顔をする (互いに初出場無名校だし、大勝しても相手が素人同然だったと言われればそれまでだ… もし二回戦に進んで勝てれば別だけど…) 橋詰監督は腕組みをしながらそう思うのだった そして、少ししてオーダー表の交換が行われる 北浜高校のオーダー表を見た相手高校の監督は驚く 「なんだ…? このメンバーは…」 その監督は中学野球にも詳しいのか、オーダー表の名前と選手達を交互に見ていく 「やはり… 中学では有名だった選手ばかりじゃないか… あんな無名校に集まって何を考えてるんだ?」 相手監督がそう呟いてこちらを見ている事に気づき、橋詰監督は思わず渋い表情を浮かべる (気がついたかな? オレ自身も最初知った時には驚いたからな… でも、オレが集めた訳じゃないですからねぇ… アイツらが勝手に集まってきたんですよ…) 橋詰監督は勘違いされないようにそう願っているのだった そして、その後少しして試合が始まり、選手達は自分たちの持ち味をしっかりと発揮する 気づいてみれば、試合は10対0の五回コールド勝ちをおさめていたのだった
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