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試合開始直前になり翔南高校の応援スタンドでは、応援団長のような格好をした内田が多くの一年生を従えていた
「応援団長みたいだな…」
「応援団長やるか?って聞いたら張り切ってたからな… 声も大きいし元気もあるし適材適所ってヤツだろ」
高木と宮崎が小声でそう言っていると、内田がクルリと後ろに並ぶ一年生達のほうを向く
そして、キリッと表情を変えて口を開く
「一年生諸君! 本日が我が翔南野球部の初戦だ。しょうがない事にレギュラー陣は相当緊張しているだろう。まったくこの内田様がいないと困った連中だ」
内田はもちろん悪気もなくそう言って、その言葉を炎迅達はベンチからジト~っとした目で見ている
そんな事はお構いなく内田は言葉を続ける
「そんな困った連中でも、オレの大切なチームメイトだ! 一つでも多く勝ってほしい! 全力で応援するぞぉ!」
『はい!』
内田の妙に気合いの入った声を聞いて炎迅達は小さく笑う
「わざと聞こえるように言ってやがるな…」
「まぁ、内田がいて助かった時もあったからいいんじゃないか?」
「そうだな…」
みんながそう言っていると、また応援席から内田の声が聞こえてくる
「だが、オレがいねぇとどうしようもねぇ連中だからなぁ… 応援してても心配だぜまったく」
『…………………』
その言葉に今の今まで笑っていたみんなが表情を変える
「………う~ん」
「やっぱりいつもの内田みたいだね…」
「調子乗っとるなアイツ」
「勝ってもうるさいだろうが、もし負けたら、もっとうるさいだろうな…」
誰かがそう言うとみんなは真剣な顔になる
「じゃあ、なおさら気合い入れないとな…」
拓郎がそう言うと同時にホームベース前に審判が出てくる
「整列!」
「いくぞぉ!」
『おおぉ!!』
大きなかけ声とともに、選手達はグラウンドへと飛び出していく
ビシッと整列して審判が礼の声をかける
「礼!」
『お願いします!!』
両校大きな挨拶を交わして、守備の翔南ナインはそれぞれ散っていくのだった
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