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翔南ナインがグラウンドへと散っていき、マウンドには多田が上がり投球練習を始める
サードでは長山が少し緊張した面もちでボール回しを行う
そんな長山に投球練習を終えた多田が声をかける
「長山。飛んでくと思うけどよろしく～」
「あ、はい！ すべて捕ります！」
長山がそう言うと多田は苦笑いを浮かべる
「まぁ、捕れる範囲でいいよ。頑張ってくれ」
多田はそう言ってスッと真剣な顔になる
それを見て長山も真剣な表情になる
「プレイ！」
審判の声がかかり、多田が大きく振りかぶって一球目を投げ込む
キィン！
「うおっ!?」
一番バッターは多田の投げ込んだ初球を叩き、打球はサードライン際への痛烈な当たり
「てぇい！」
バシッ！
その痛烈な打球を長山が横っ飛びでグローブに収める
「ナイス長山！ さっそく見せ場だ！」
「ご丁寧にありがとうございます！！」
長山はそう言いながら素早く立ち上がると同時にボールを持ち替え、上原ばりの肩で一塁へとボールを送球する
バシィッ！
「アウト！」
『おおぉ～！』
ギリギリだったがアウトになり翔南ベンチから声があがる
「長山の肩も強いな…」
「拓郎、上原の次くらいに強いんじゃないか？」
みんながそう言っている横で、武田監督は腕組みをしながら長山を見ている
(守備と肩は中学時代から定評があるし、打撃もなかなかだ… 今、あれだけ動ければ大丈夫だろう…)
武田監督がうっすら笑いながらそう思っている先で、長山は恥ずかしそうにペコペコしていた
「いきなり飛んでいっちまったな…」
「だ、だ、だ、大丈夫です！ どんどん打たせていきましょう！」
長山はそう言ってバシバシとグローブを叩く
それを聞いて多田はニッと笑い、振りかぶり二球目を投げ込むのだった
その後、試合は翔南高校優勢で進み、打線は六回までに８得点を挙げて、守備は多田と山中のリレーで無失点に抑えていた
そして、コールド勝ちが成立する七回表の守備で江口が呼ばれる
「江口！ この回しっかり抑えてこい！」
「はい！」
武田監督に背中をバシッと叩かれ江口は少し緊張した様子でベンチを出て行く
それと同時に守備も全員レギュラーへと代わる
「落ち着いていこうぜ」
「稲垣のミットしっかり見てな」
マウンドに上がった江口に炎迅達がそう声をかけて守備へと散っていく
のだった
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