夏本番

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選手達がベンチを後にして、最後に球場を出ようとした武田監督は数人の記者につかまる まだ二回戦ということもあり記者の数は少ない 「武田監督。見事二回戦を突破しましたが、今日の試合はどうでしたか?」 「今日は二年生中心のオーダーだったんですが、よく動けていましたし、一年生2人もいい働きをしてくれていました。いいコンディションで三回戦に臨めると思います」 武田監督は笑顔でそう答えて、その後のいくつかの質問にも答えて球場を出る そして、そのまま選手達の集まる場所へと向かう 「よ~し、全員集まってくれ」 武田監督のその言葉に選手達はすぐに武田監督のまわりに集まる 「みんなご苦労。この夏の初戦だったが、みんなよく動けていたぞ。特に長山と江口の2人は良かったぞ」 『ありがとうございます!』 長山と江口がバッと頭を下げると武田監督は小さく頷く 「今後も出番が多くなってくると思うが、この調子で頼むぞ」 そう言ってから武田監督は三年生達の方に顔を向ける 「ほとんどの三年生は最後の守備だけだったが、気を抜かずしっかり調整をして、試合で全力を出せるようにしてくれ」 『はい!』 三年生の返事を聞いてから、武田監督は今度は応援団に声をかける 「え~… 内田、宮崎、高木。多くの一年生をまとめての応援ご苦労。今後もよろしく頼むぞ」 武田監督がそう言うと内田が偉そうに前に出てくる 「任せてください。コイツらはこの内田様がいないとダメな連中ですからね… はっ!?」 内田は気配を感じて振り返ると、大江を筆頭に三年生が内田を引きずっていく 武田監督は小さく笑いながら、その三年生達の背中に声をかける 「すぐ学校戻るからな~ じゃあ、一・二年生は先にバスに乗っておいてくれ」 『は~い!』 一・二年生は元気よく返事をしてバスへと乗り込む そして少しして、いつもよりはボロボロになっていない内田を引っ張って戻ってくる しかし、いつもと違って内田には笑顔があり、それを見て武田監督は微笑む (内田はあんなヤツだが、仲間思いの良いヤツだ。時にはみんなを励まそうとしている… それを一番知ってるのはアイツらなんだよな…) 武田監督はそう思いながらみんなに続いてバスへと乗り込み、球場を後にするのだった
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