2人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
プロローグ3 ー最悪の対面ー
トンッと押されて一歩踏み込んだとたん、少年の視界が一変した。
「なんだ…これ」
一瞬、だまし絵かと思った少年はあたりをキョロキョロと見渡した。
だが…どうも違うらしい。足元を臆することなく小動物が走り去る。
空には燦々と光を降り注ぐ太陽があって…周りには新緑が眩しいくらいの木々が生い茂っている。
耳には、鳥のさえずりが心地よく入ってくる…。自分がイメージしていた様子とはかけ離れすぎいる風景。
少年は戸惑った。
「これ…なんなんだよ。宮殿っていうよりただの…」
『森か?』
「え?」
少年よりは年上そうだが、まだ若そうな男の声がどこからともなく響いてきた。
『ガルシアの…王の代理だと聞いたから来てみたのに、目に映るモノに心とらわれすぎているまだ子供じゃないか』
「なんだって!」
『子供を子供といって何が悪い?』
姿も現さないで言いたい放題…キッと空を睨むと声が降ってきたあたりに向かって少年は叫んだ。
「私は子供じゃない!もう18歳だ!立派な大人だ!姿を現せ!」
『大人と認められる人物は自らを【立派な】なんて形容しないものだ。そんな言葉を使うこと自体、子供の証拠だ。不満なら帰れ。ガキ』
「なんだってぇ~」
子供あつかいの次はガキあつかい!なんなんだ!ここは!
もう一言二言、言い返そうとした瞬間、少年の目の前でつむじ風が起こり一人の男が現れた。
真紅の髪、ザクロの実のような透き通った赤い瞳。
全身から漂う威圧感。かなりの長身。
『俺の姿を見て怖くなったか?ガキ』
「ガキガキって連呼するな!私には、ガルシア国の第一王子のラヴァーンというれっきとした名…」
バコッ!!
言い終わらないうちに少年…ラヴァーンは男に頭を殴られていた。
最初のコメントを投稿しよう!