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本当にここは白の宮殿なのだろうか。もしかしたら…
もしかしたら…違う?
不安な気持ちが胸に広がる。
銀の砂漠と思って歩いてきた道筋も、白の宮殿だと思っているこの場所も、目の前にいる…この女性(ひと)も…
自分の目に映っているものが真実なのかどうかどうやって確信する?
本物と偽者の違いをどうやって区別する?
幻影と本物の区別はどうやってする?
魔は人のほんの少しの隙間を見つけて入り込むという。
本人はもちろん、周りも気がつかないうちに…。
少しずつ…
少しずつ…
ここ数日、白の宮殿(…というより、この女性(ひと)にたどり着く想いでいっぱいだった。
その隙に魔が入り込んでいたとしたら?
ありうることだ。
「ラヴァーン?」
どうしたの?顔を覗きこむようにして女性が近づく。
女性が一歩近づくとラヴァーンが一歩下がる。
「どうかしましたか?」
不思議そうに女性が問いかけ、ラヴァーンの肩に触れようとした。
「触るな!騙されないぞ!」
女性の手をはねのけると、ラヴァーンは腰に下げていた剣に手を伸ばした。
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