《記憶》‐a memory‐

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俺は何も分からない…ただただ死なないために生きてた。 死ぬ事は怖かった。 だって今、以上寂しくなりたくない。 だけど、生きる事はそれ以上に辛い気がした。 「も…ぜんぶいらな、い」 俺には何も必要ない。 だって俺自身が誰にも必要とされてないだろう? 雨が空を見上げる俺を嘲笑う。 実際には、違う。 「…?」 急に、雨が止んだ。見上げると俺より数倍でかい男。 「冷たいだろ。」 「だ、れ…?」 聞く意味なんてないのに、気付いたら聞いてた。 「…格(イタル)…」 赤い髪に藍色の瞳…男はそう言った。 「ニンゲン?」 「違う。俺はイタルだ。」 そう、雨の日…これは俺にとって最低で最高の日だった。
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