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したり顔をした金髪の男と、呆れ果てた茶色のツインテールの女が、彼の前に立っていた。
「ごめんね、水澤君。大丈夫?」
女生徒のほうはパタパタと歩いて肩や服に着いたチョークの汚れを掃っている。
「しっかし陰(いん)って書いて陰(かげ)って読むなんて変わってるよなー」
男のほうは両手を首に回し、自分のやった行動については我関せずといった所だった。彼――水澤 陰は、女生徒から渡された水に濡れたハンカチで顔を拭いてから、二人に聞いた。
「なんで、俺の名前を?」
その疑問に答えたのは意外な方向からだった。
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