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「あぁ、それは簡単だな。水澤以外の生徒は全員中学からの持ち上がり組だからだ」
その声は陰の背後から聞こえてきた。何故か男子生徒のほうはそそくさと自分の席に戻って行った。
――バシッ
「ぃっ」
薄い何かで頭を叩かれた陰はそれで後ろを振り返り、ようやく彼が戻っていった意味を知った。
「悠真、お前も仁王の行動を少しは止めろ。で、水澤。席は窓側一番後ろだ」
そこにいたのは赤い髪の女性で、片手には出席簿を持っていた。悠真と呼ばれた女生徒は苦笑いしながら席に着き、陰も言われた通りに席に着いた。
「さて」
教壇にたった担任は全員を見回して何度か頷いて出席簿を開いた。
そして陰のほうに目線を送るとその口元を意地悪気に笑った。
「水澤、『名称』と『系統』を言え。お前以外からの生徒には昨日聞いているからな」
そう言った。
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