序章*別れの儀式*

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次に目を開いた時には 部屋には親しかった数名と身内のみになっており、黒い人達が殆どいなくなっていた。 葬式で故人を褒めるのは当然だが、少なくとも彼女を褒める言葉を見つけられず、困ったりつまったりしている人はいなかった。 ふ、と気がつくと隣に圭が座っていた 「ほんと、お前にはもったいない位、イイ子だったよなぁ。何でお前だったんだかねぇ」 自嘲気味にそうもらした後、俺にいつものように怒る気力がない事に気がついてか取り繕うように苦い笑みを浮かべた。 浜内 圭(はまうち けい)。 高校からの友人で、今は俺と同じ県外の大学に通っている。 奴は親友なんて言っている。 「ゆきねちゃんに頼まれてんだって!ついてこい」と騙して合コンに連れ出したりする事を除けば、明るくて気のいい奴だ。 あまり本人には言えないがそれに何度も救われている。
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