序章*別れの儀式*

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「地元離れて県外の大学に進学するって宣言したお前をみて、何人の野獣がニヤッとしたか…普通は遠恋なんて辛いよ?しかも誘惑だらけの大学生活よ?俺が女の子なら別れちまうよ」 ふぅ、と溜め息をもらし理解できないと首を左右に振っておどける。 恐らく今にも闇に魅入られそうな俺をみかねてわざとおどけて元気づけようとしてくれているんだろう。 「ま、俺はお前みたいに遊び人じゃねぇし、信頼度が違うよ信頼度が。」 ― 故人、 皆口 雪祢(みなぐち ゆきね)は俺の彼女だ。 文武両道で絵に描いたような清楚な女の子。 どんな時も優しくて笑顔を絶やす事のないので柔らかいばかりなのかと思いきや 話してみると内側にちゃんと芯が通っていてしっかりしていた 俺はユキのそんなところが好きだった 俺が夢を叶えるために県外の大学へ進学すると伝えた時 嫌な顔をせずにエールを送ってくれた 合格した時も 「夢は大事にしなきゃだめよ。そのためなら4年なんて苦じゃないわ」 と言ってケーキまで作って祝ってくれた その言葉や優しさに甘えて無理をさせていたかもしれない。
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