19人が本棚に入れています
本棚に追加
エンジン音がけたたましく鳴り響く。
(このコーナーで追い込みをかける!)
俺、村西 明正(むらにし あきまさ)は、ハンドルを強く握りコーナーへ進入するタイミングを計る。そして、
(今だ!)
ハンドルを思いっきり右に回す。俺の機体がコーナーの内角を攻める。抜いた! これで勝ちだ! と、思った瞬間、
「残念。赤こうらは所持してるんだよ」
ガツンッと、後ろから赤こうらが、
「あぁ! 俺のヨッシーが……」
と、俺のヨッシーに見事に命中し、コースをどんどんと外れて行く。その間に、先ほど抜いたキノピオが楽々と俺を、俺のヨッシーを抜き去っていく。そして、
「やったー、ゴールー! またまたボクの勝ちー」
と、隣でWiiのハンドル型コントローラを高々と振り上げ、ニコニコと微笑む少女の姿があった。マリオカートで連勝を決め込む卯月 穣(うづき みのり)である。
「ということで、今日の晩御飯当番は明正に決定ですー」
「お、おま……マリカーの強さ異常だろ……」
やり込んでるもーん、と、にやにやと笑いながら近くのソファーに腰掛ける。そして、机に積まれたラノベの中から手頃で読みかけなのを一冊取ると、
「じゃ、出来たら呼んでねー」
と、お気楽にソファーで読書を始めてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!