友達以上家族以下?

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「ど、どうかした!? ま、まさか指とか、切って、血……血とか、でてないよね!? 大丈夫!?」 「あぁ、くんなくんな。大丈夫だから、何ともなってないから!」  包丁で若干切ってしまった指先を絆創膏で丁寧に覆いながら俺は言った。  続きだが、事故の際に、無残にも亡くなってしまった両親から流れ出た血は、運悪く穣に振りかかった。本人は平気だというが、事故の衝撃と、その体験により血液恐怖症になってしまったらしい。その事実に気付いたのは、穣と一緒に遊んでいた公園での出来事だった。  偶然に蹴躓いてしまい、俺が膝小僧を少し派手にすり切ってしまった時、大袈裟に血が出たのだ。その時パニックになったのは穣だった。あまりの狂い様に、怪我をしたのが穣だと思われたくらい大変だった。それ以来俺は気付かれても絶対に血だけは見せていない。見せなければ狂うことはなかったからだ。  っと、そんなことはさておいて、明らかに様子がおかしくなってしまった穣を長く座らせているわけにはいかず、慌てて俺は料理を作ってしまう。
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