19人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
いつだって隣に居るのが当たり前だった。今思えば、嫌な奴を隣には置いておかない。こんなことを思い始めたのは高校に入学してからだ。同じ学校に通い、同じクラスになり、一緒に来てるの? 付き合ってるの? と女子に聞かれた時、俺は何も答えられなかった。同じように、穣も、笑うだけで否定もせず、何も、答えはしなかった。
ハイとは言えなかった。付き合っていると思ったことなど、一度もなかったから。だが、イイエとは言えなかった。俺は、少なくとも俺は穣のことが嫌いじゃなかったからだ。嫌いじゃないなら何なのだろう? その日、一日悩んでいたのを今でも忘れてはいない。
小さなきっかけから生まれる恋もあるという。だが、家族で生まれる恋はないだろう。しかし、友達以上家族以下の穣とはいったいどういう関係なのだろう。むしろ、恋人以上夫婦未満なのではないかと考えたこともあった。俺は、穣のことが、大好きだ。確信したのは、この時だった。
どういう関係だと思う? なんて、確認はとっていない。だって、だってもしこんなことを思っているのが俺だけで、穣は何とも思っていないのなら、俺は凄く寂しい奴だ。振られた時のショックがでかすぎる。だから、あえて心にとどめてきた。逃げていたんだ、今までは。
最初のコメントを投稿しよう!