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……朝が、朝が来てしまった。
「羊が15248……羊が、15249……羊が、15250……」
ばかばかしくなってきた。誰がsheepを数えるとsleep出来るなんて言ったんだか……。
ガバッと布団を押しのけ、勢いよく起き上る。準備運動をして体の関節を全体的に鳴らしておく。パキパキと全身から聞こえた。だが、緊張はどうやっても取れるものではなかった。穣。昨日から穣の顔が浮かぶだけで恥ずかしさに頭を抱えてしまっていた。何故あんなことを言ったんだと、後悔しても遅かった。
後悔先に立たず。まさに、まさにそうだと思った。だが、無情にも、家の呼び鈴が大きくなった。
「……明正? 起きてる?」
いつもと変わらない、穣の声だった。早鐘のように打つ胸を押さえながら、俺は玄関へ向かう。
(落ち付け、落ち着くんだ、俺!)
何度も言い聞かせるようにしつつ、ゆっくりと玄関の扉を開いた。そこには、
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