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「その人たちは、一体僕のなにがムカついてそんなことするのかなぁって……いつも考えてるんですけど、分からなくて」
「…………」
僕は泣きそうになるのを必死にこらえて笑顔を作る。
「自分じゃ、どうにもできなくて……」
「……俺がお前を守る」
「えっ?」
僕が見上げたら、隣に座るツバサ先輩は腕を組んで目を閉じていた。
「1回しか言わねー」
「ええっ!?なんて言ったんですか、今!聞き逃しちゃいましたよー!!」
「うるっせーよ!!!」
ダンッ!!
「(ビクッ!!) あ、あの、ツバサ先輩?こ、ここ、一応病院の待合室ですよ?あんまり大きい声出すと周りに迷惑が……」
「あ゙ぁ?」
「いえ、なんでもありません」
だから不良は嫌いなんだってば……!
「青梨さーん」
「あ、はい!」
受け付けに呼ばれた僕を、ツバサ先輩は見てはいなかった。
支払いを済ませると、僕はツバサ先輩が待つ病院の出口に早足で向かう。
「すみません、お待たせしました……!」
「お前んち、どっちだ」
「あ、はい。案内します」
僕は渋々ツバサ先輩の前を歩く。
僕の家は学校から徒歩15分のところにあるマンションだ。
「あ、あの……ツバサ先輩?」
「あ?」
「もうすぐそこなんで大丈夫です。送ってくださって、ありがとうございました」
僕はツバサ先輩に頭を下げた。
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