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「ソラ、強くなったな……!」
気持ち悪いことにお父さんは笑っていた。
「なってないよ、全然」
僕はお父さんから離れながらぶっきらぼうをつとめて言った。
「で、この人は誰なんだ結局。パパに言えないような関係の人か?ん?セフレか?」
「セフレ!!!?」
「それともデリヘルか?」
「デリヘル!!!?お父さんどうして頭がそっち系なの!!?」
僕はお父さんから距離をとり、ツバサ先輩の影に隠れた。
「この人は僕の学校の先輩だよ!!」
「ただの?」
「ただの!!!」
「なんだ……」
お父さん残念そうだし!!!
あんたは息子に何を望んでるんだ!!!
「ソラの父親の青梨陸(あおなしりく)です。君は……」
「赤井翼」
「ツバサくんか。よろしく」
お父さんが差し出した手を、ツバサ先輩は無表情で握り返した。
「ソラ~、今日の夕飯はすき焼きにしよう!!美味い肉たくさん買ってきたんだぞ~!!ツバサくんも食べていってくれ!!」
「言われなくてもな」
ちょ……ツバサ先輩何様?
俺様?
ツバサ様?
エレベーターが11階につくと、お父さんは僕の手を握ってスキップで家に向かった。
「ちょ、痛っ……お父さん、引っ張らないで!!僕肋骨骨折してるんだよ」
お父さんが鍵を落として振り向いた。
その顔は真っ青だ。
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