1.出会い

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「ソラ、強くなったな……!」 気持ち悪いことにお父さんは笑っていた。 「なってないよ、全然」 僕はお父さんから離れながらぶっきらぼうをつとめて言った。 「で、この人は誰なんだ結局。パパに言えないような関係の人か?ん?セフレか?」 「セフレ!!!?」 「それともデリヘルか?」 「デリヘル!!!?お父さんどうして頭がそっち系なの!!?」 僕はお父さんから距離をとり、ツバサ先輩の影に隠れた。 「この人は僕の学校の先輩だよ!!」 「ただの?」 「ただの!!!」 「なんだ……」 お父さん残念そうだし!!! あんたは息子に何を望んでるんだ!!! 「ソラの父親の青梨陸(あおなしりく)です。君は……」 「赤井翼」 「ツバサくんか。よろしく」 お父さんが差し出した手を、ツバサ先輩は無表情で握り返した。 「ソラ~、今日の夕飯はすき焼きにしよう!!美味い肉たくさん買ってきたんだぞ~!!ツバサくんも食べていってくれ!!」 「言われなくてもな」 ちょ……ツバサ先輩何様? 俺様? ツバサ様? エレベーターが11階につくと、お父さんは僕の手を握ってスキップで家に向かった。 「ちょ、痛っ……お父さん、引っ張らないで!!僕肋骨骨折してるんだよ」 お父さんが鍵を落として振り向いた。 その顔は真っ青だ。
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