1.出会い

14/24
前へ
/123ページ
次へ
お父さんは真っ直ぐ自分の部屋に僕らを案内すると、クローゼットを開ける。 「ほーらソラ、どれがいい?ソラの保存用の制服、ソラの鑑賞用の制服、ソラの実用用の制服」 「えっ、実用用って何に使うの!!?っていうか僕の制服がこんなにたくさん……!」 ……買う必要なくない? 僕がぼけっとしてたら、ツバサ先輩がお父さんの手から制服一式を奪う。 「ソラ、もうこれにしろ」 「あ……」 そして僕に渡してくれた。 「あ、それは実用用だからパパがちょっと使っちゃってるけどいいかな?」 「だから何に!!?」 お父さんは僕よりだいぶ背が大きいから、この制服を着ることはできないはずだ。 見た感じも新品そのものだし、一体何に……。 ……怖いので、僕は考えるのをやめた。 「さあさあツバサくん。ケーキを買ってきたから食べなさい。お茶をいれるよ」 お父さんはツバサ先輩を連れてリビングに行く。 僕は制服をしまいに自室に向かい、そのままシャワーを浴びることにした。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ソラの親父はとんでもない親バカだった。 「ツバサくんはソラとはどんな関係なのかな?」 「…………」 紅茶を出してくれたソラの親父が聞いてくる。 ニコニコ笑ってるが、コイツは、 「返答次第で、その綺麗な顔を原形をとどめないくらいに潰させてもらうけど」 俺と同じニオイがする。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1163人が本棚に入れています
本棚に追加