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「あ、あのぅ……」
ソラが小さい体をさらに小さくさせて言う。
「なんだよ」
「その……僕からお金を取ったら、何に使うんですか?」
俺はアキラと顔を見合わせた。
「はぁあ?」
「主にゲーセン」
「あとは飯とか?」
「だな」
「…………」
ソラは目をぎゅっとつぶり、両手を握り合わせている。
「……お金は渡せません」
「!」
「あぁ!?」
ソラは泣きそうな顔を上げて、必死に言った。
「お、お金は渡せません!無駄なことに使われるほど、僕はお金持ちじゃないです!」
「無駄だとォ!!?」
「てめえ1年のくせに生意気なんだよ!!無駄か無駄じゃねえかは俺たちが決め……どぅあ!!!」
俺の手が勝手に動いていた。
ソラに文句を言っていた不良に向かって、校長室に置いてあったサッカー部のトロフィーを投げつける。
トロフィーは見事に不良の頭に当たり、やつを倒した。
「よっちゃん!!」
「くそ、誰がこん……、」
不良たちは顔を上げたが、校長室の窓から見下ろしている俺とアキラを見つけて途端に後悔したような顔に変わった。
「あ、赤井、桃木……!」
「よう。何してんの?お前ら」
アキラがニッコニッコしながら聞いた。
「べ、別に何も……」
不良たちは、俺がまたひとつトロフィーを持ち上げたのを見ると、笑えるくらい慌てた。
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