1.出会い

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ツバサ先輩は僕を1年A組まで運んできてくれた。 放課後のオレンジ色の校舎にはもう生徒が残っていなくて、僕の女装は誰にも見られずに済んだ。 ……ホッ。 僕は教室でジャージに着替えると、脇腹を押さえながらかばんを掴んだ。 「ツバサ先輩、ありがとうございます。僕は病院行ってから帰るんで」 「あ゙ぁ?てめえの耳は飾りか?このカス野郎。送ってくっつってんだろ」 「え、家までですか!?」 「そうだよ」 「えーと、今日は……」 僕は急いでスケジュール帳を確認する。 ひぃぃぃ……! 今日はお父さんが帰ってる日だ!! お父さんからなんとしても先輩を守らなきゃ……あれ?逆かな? とにかくお父さんと先輩が会わなければいいんだよね、うん。 僕は控えめにツバサ先輩を見上げた。 「あぁ?なんだよ」 「(ビクッ!!) な、なんでもないです!えーと、僕は整形外科に行きますが……」 「ついてく」 ですよねー。 「……はい」 僕はため息混じりに返事をした。 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ 「右の肋骨にひびが入ってるそうです」 待合室でぐーすか寝ているツバサ先輩に、一応報告しておいた。 「……アイツらにはもう何度もあんなことされてんのか」 あ、起きてたんだこの人。 「いえ、彼らと会ったのは今日が初めてですが、他にも色んな人に色んなことされてます。物を盗まれたり、パシられたり、襲われたり」 「襲っ……!?」
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