退屈の理由

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「お待たせしました。ゴーヤチャンプルです」 何も知らない店員がシリアスな空気を掻き消した 一息ついて女性が口を開いた 「どこまで話したかしら?えっと・・・ あぁ、試合のルールとランクだったわね」 さっきと打って変わり、穏やかな表情の女性を見て呆然とする誠 「あっ、はい。(さっきの、何だったんだ)」 「続けるわね。 試合の勝者にはランクに応じた賞金が与えられるの。金額は資料に書いてある通りよ」 誠は資料に目を向けた S:50000 A:10000 B:500 C:10 D:1 苦笑いしながら言った 「破格の安さッスね。バトルオペラって人気ないんですか?」 「その数字の単位は万よ」 「万!?ってことはDが1万で・・・1千万と・・・で、5億!?」 1試合5億、普通の格闘技の試合でも考えられないほどの金額だ 驚く誠を嘲笑うかのように女性が言った 「確かに、少し安いかもしれないわね。でも、試合は月に何回も開催してるから、ゼルエルもこれ以上の賞金は出せないのよ」 金額に差はあるものの、ひと月に支払う賞金だけでも、かなりの額になるだろう 誠は改めてゼルエルという組織の大きさを知った そしていつの間にか、バトルオペラに対する疑いの気持ちは消えてしまっていた 「安心して。世間の裏でしていることだから、税金は引かれないわ」 女性はそう言うと机に広げた資料をまとめはじめた 「以上で私からの説明は終わり。あとは資料をよく読んでおいてちょうだい。必要な連絡はこちらから入れますから」 誠に資料を渡すと、女性は席を立った 「まだやるなんていってねーぞ!」 やっと頭の整理がついてきた誠は、去り際の女性に言った 「大丈夫。あなたは必ずやるわ」 それだけ言って店を出ていった
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