夢幻恋差

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夢幻恋差(むげんれんさ) 明るい世界に くす玉二つ 期待に胸は膨らんだ 一つを試しに引いてみました 無数に散らばる紙吹雪 あの頃の僕は欲張りで 全てを掴もうとしていた 右へ左へ息を切らして ひたすら夢を追いかけた その先に見える景色を見てみたくて 薄暗い部屋に電球一つ 今日は早めにヒモを引く 優しい闇に期待しました 無限に広がる夢物語 やがて無慈悲な光が 迫り来るだろう 右へ左へ呼吸を忘れて 夢中で夢を追いかけた その先に見える景色を見ないふりして 情けないね 解っているさ 繰り返す自問自答 答え合わせは出来ぬまま 残ったくす玉割ろうかな 期待と不安が押し寄せる それでも ヒモを引いて見ました 無残に崩れる僕の足 涙でくす玉満たされた こんなことって あるだろうか 君へ君へ届かぬ思いを ただ ひたすら叫んでいます 縋っています… 闇の中に肉体が一つ それは人とは呼べないね 虚ろな目は微かに濡れて 世界の終わりを見つめてる… こうなる前に気付きたかった 大事な夢を 大事な人を 失ってしまうその前に 悲しみの無限連鎖に落ちてしまう その前に…
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