始まり

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始まり

ふあぁ。 ハルは欠伸をし、どっこいしょとオヤジ臭い台詞を吐きながらベッドを降りた。朝日がカーテンの隙間から部屋を少し明るくしている様子から、今日が晴天とゆう事をハルに理解させた。6月の晴天に疎ましさを感じながら一足遅く鳴り始めた携帯の目覚ましを黙らせ、一階にある洗面所に向かう。少し急な階段をペタペタと降り、広いダイニングキッチンにある大きな冷蔵庫のお世話になる。牛乳で喉を潤し、ソファに無造作に置かれた制服に着替える。 誰も居ない大きな家。 両親は1年程前、旅行中にドラッグ中毒者の乗る車に跳ねられ他界している。以来、二階建ての少し広めの家は彼の所有物となった。 「行ってきます」 両親の遺影に手を合わせ、ハルは逃げる様に家を後にした。
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