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2人で中を捜索しだしてどれくらいたっただろうか…見ても見ても生きた人はいない。
『誰かいないのかぁ!』
何度呼んでも返事は返ってはこない。もう諦めかけたその時…
『うぅ~…』
小さな唸り声が聞こえた…私達は思わず耳を疑った。
『今たしかに…聞こえましたよね?』
『あぁ…聞こえた。』
そう言い声の聞こえる方に加藤さんは走って行った。私も走ってついて行ったが明らかにさっきまでとは様子がおかしい…冷静さを失っている。
後ろから走ってついていっている私の目にあるものがうつった。
焼けた通路…そして一方通行で行き止まりの真横にある扉…そしてそこから聞こえる声。
この通路の焼け方に焦げた扉…誰も生きた人なんていないはず………まさか!
『加藤さん!開けちゃダメだ!開けたら…』
そう言ったのも虚しく加藤さんには聞こえてはいなかった。
止めようとしたのも虚しく加藤さんが扉を開けた…その瞬間…
大量の炎が扉から吹き出した。
私の考えは見事に当たった。バックドラフト…バックドラフトは密閉された室内に不完全燃焼が起きて一酸化炭素という可燃性の物質が発生しそれが扉などを開けた時に大量の酸素を吸い込むことで爆発がおこる現象だ。
私は、しゃがみこみ着ている服で体を被った。もうこれで終わりか…そう思った次の瞬間天井が崩れ大きな穴が開いたのだ。そこへ炎は流れていった。運がいいなんてもんじゃない…
私は加藤さんの方を向き叫んだ。
『加藤さん!大丈夫です………』
私の目に写ったのは焼け焦げた人間…今さっきまでの加藤さんはそこにはいなかった。
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