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全身の力が抜け私は、その場に崩れた。 『そんな…』 その場には長い沈黙とそして…焼けたゴムのような臭い…私は長い時間その場に呆然と立ち尽くしていた。 しかし呆然と立ち尽くしていた私はあることに気づいた。加藤さんの薬指についている婚約指輪…私は助けられなかったせめてもの償いとしてその指輪を相手の婚約者へ届けようと考えた。探す手段はいくらでもある…私は薬指から指輪を外し強く握りしめた。 『すみません…』 そう呟き私は振り返り歩きはじめた。 ショッピングモールはいくら探しても人はいなかった。声すらなくただあるのは…死の臭い…そして死の光景だった。 私は頼まれていたお孫さんも見つけられずエントランスへと戻り外への扉を開けようとした瞬間… 『なんで助けてくれないの…?』 『俺みたいにならないでよかった。そう思っただろ…』 死んでいるはずの死体から声が聞こえ見られているような気がした。 無数の目に見られているような気が…。 私はすぐさま外への扉を開け飛び出した。外をでると心配そうな顔をしてマミが言った。 『…大丈夫?』 『なにが………?』 長い沈黙が続きマミは答えた。 『トモ…まるで別人の顔をしてるよ…?』 私はすぐさま答えた。 『中は…地獄だった。一人生きている人がいたんだ…でも死んだ。目の前で…』 そう呟きうつ向く俺にマミは近より… 『大変だったね…』 そう言い私を抱き寄せた。彼女の温もりが匂いが私を少し楽にさせた。 …地震の際には建物内で火事が起こり建物が崩れる。地震で死ぬ人は少ない。むしろ火災や崩れた建物による死者が多い。 建物内は本当に地獄だった。おばあさんも私の顔を見て崩れ落ち大声で泣いた。生きていなかった事を悟ったのだろう。 私は心の中で小さく呟いた。 『すまない…本当に………すまない。』
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