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いつからだろう……
悲痛な女性の嘆き。
その声はずっと聞こえていた。
耳を傾けなくとも、もはや脳に染み付いたように……長く、長く。
暗い闇の中を喘ぐように、小さく口を開ける。
冷たい空気と砂を一緒に吸い込んで……自分が何処で何をしているのか分からなかった。
闇を彷徨い、結局その闇は目蓋を上げれば消えてなくなって……
まるでベールを隔てて見ているように焦点の定まらない景色。
それでも何とか捉えた視界には、ぼんやりと赤茶けた大地だけがあった。
結局それを見ても、何一つ思い出せない。
自分は何故こんなところで倒れているのか。
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