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そんな光輝のごつごつした大きな手を桜は握り返した。
その瞬間光輝はクスリと笑った。
「断られたらどうしようかと思った」
そう安心したように光輝は笑った。
校門に入りかけたその瞬間、光輝は手を優しく離した。
桜が不思議そうに見上げると
「修にみられたら嫌でしょ」
そう切なそうに笑った。
桜はなにも言わなかった。
光輝の優しさが痛いほど伝わった。
それと同時に光輝を傷つけていることも分かっていた。
桜が光輝の手を再び掴もうとすると、光輝はその手を引っ込め
結果的に桜の手は光輝の手を掴めず空振りした。
「無理すんな」
そう笑いながら光輝はいつもの距離を保って歩き始めた。
肩と肩が触れないほどの距離。
近いけれど遠い距離。
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