“ともちゃん応援計画”始動!

2/6
98人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
いつものように、ことり、ともちゃん、みっくんの三人は音楽室に集まっていた。みっくんもことりの親友である。 ピアノのみっくん、ベースのともちゃん、そしてボーカルのことりの三人はバンドを組んで、時々放課後の音楽室で練習しているのだ。彼女たちがたまに開くコンサートは、生徒たちの人気を集めるイベントとなっている。 「さ、お茶にしよっか」 軽く音を合わせた後、ことりが2人をティーブレイクに誘った。 わざわざ喫茶店に行くのも大変なので、持参したティーポットに入った紅茶と、ことりの作ったお菓子でのささやかなティーパーティーである。 「あ……実は今日、朝倉くんをお招きしてるんだけどいいかな?」 そのとき、音楽室のドアを開け、純一が入ってくる。 「どうも」 少し照れくさそうに手を挙げて挨拶する純一の姿を見て、ふたりは笑顔を見せた。ことりと恋人同士であることはともちゃん、みっくん、ともによく知っていた。 「なーんだ、朝倉くんか」 「朝倉くんならいつでも大歓迎だよ。さあ、座って」 みっくんに勧められるまま、純一は椅子に座る。 「わりぃな、女の子たちのお茶会に野郎がひとり紛れ込んじまってさ」 「あはは、全然かまわないよ」 純一の隣にことりが座ると、純一の耳に声を潜めて囁きかける。 (ーいい、朝倉くん?打ち合わせ通りに……ね) 「ああ……」 と、純一はかったるそうに答えたが、次の瞬間、 「お、おお!?」 素っ頓狂な声をあげてしまった。 ことりがいきなり、しなだれかかるように身体を預けてきたのだ。 「ふふっ、どうしたんですか朝倉くん。いつもしてることですよ?」 ことりは、さらに身体を密着させてくる。 その様子に、目の前のみっくんとともちゃんも驚きを隠せない。ふたりが恋人同士ということは知っていたが、目の前でこんな風にいちゃつく姿を見せつけられたのは初めてのことだった。みっくんは思わず顔を両手で覆い、ともちゃんは真っ赤になって俯いてしまった。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!