“ともちゃん応援計画”始動!

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純一はあわてて、ことりの耳にささやく。 (おい、いきなり刺激が強すぎやしないか?……?) (大丈夫。これぐらいしないと、効き目がないですよ) そっとともちゃんの様子をうかがう。真っ赤な顔でうつむいてはいるが、純一たちのことをチラチラと見ているのはわかる。その点では、ことりの作戦はうまくいってるといえるのかもしれない。少し綱渡り的ではあるが……。 ことりの作戦では、まずともちゃんに“恋人がいることの良さ”をさりげなくアピールする事で、恋に対する興味を募らせていこうというのだ。要はともちゃんの気持ちを盛り上げ、一歩踏み出すきっかけをつくろうというわけだ。 純一との事前の打ち合わせでは、タイミングを計って、ことりがともちゃんに話を振るというわけだったのだが……。 「そういえばともちゃんは誰か好きな人、いないの?」 ことりはいきなり、ともちゃんに話を振った。 横で僅かにコケる純一。 早い、早過ぎるだろう。いくらなんでも。 「え……えぇ―っ!?」 案の定、いきなりの質問にともちゃんは驚き、耳まで真っ赤になってしまう。 「わ、私はまだ、そういうのは……」 消え入るような小さな声でともちゃんから答えが返ってくる。 しかし、ここで尻込みさせてはいけないと思い、すかさず純一はフォローを入れる。 「でもさ、漠然とでも付き合うならこういう男がいいなってタイプくらいはあるだろ?」 「お、男の人のタイプ? うーん……」 ともちゃんはしばらく考えたあと、 「そうだね……だったら、優しい人がいいな」 その答えを聞いて、ことりと純一は顔を見合わせて小さくうなずく。なるほど、あの日ともちゃんと一緒に歩いていた男性の雰囲気と合致する。 「“優しい”ってことは大事なことだよね。朝倉くんもとっても優しいんだよ。雨の日に私が傘を忘れたときなんか、げた箱でちゃんと待っててくれてね……」 ふたりで相合い傘で帰る途中、自分が濡れるのもかまわず、ことりに傘をかざしてくれたこと。お昼には購買部で幻の逸品である焼きそばパンを買いそびれたときは、すぐに自分のを半分くれたりしたことなど……。 ことりは純一の優しいところを次々に語っていく。 みっくんは、 いいなぁ~ と、しきりにうなずいている。
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