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「そのとおりだよ。一緒にいる時間が長くなると、いろいろと相手の知らなかった一面を知ることができて、それもすごく楽しくて」
ともちゃんが乗ってきたので、ことりが熱心に話の矛先を向ける。
「例えば、お弁当のおかずの好みとか、同じ映画を観てどのシーンで感動したとか……そういう本当に何気ないことだけど、一つ一つ知るのが楽しいんだ」
「ふうん……それって、好きなところがどんどん増えていくって感じかな?」
「―そう!それだよ!」
ともちゃんの何気ない言葉に、我が意を得たりとばかりにことりが身を乗り出す。
「日常生活の中でも発見はあるけど、デートすると、もっと新しい発見があるんだよ?」
「そうなの?」
「そうだよ!」
最後の一押しとばかりに、ことりの言葉に熱がこもる。
ともちゃんはただうなずくしかない。
「私、決めました ― ともちゃん、デートしましょう。デートです!」
「えっ……ええ―っ!?」
突然の宣言、にことり以外の三人は一斉に声をあげた。
「ともちゃんもデートすれば、その楽しさがわかると思うの。百聞は一見にしかず、って言うじゃない。ね、デートしてみようよ、ともちゃん!」
「で、でも、私にはそんな人……誰も……」
「大丈夫。デートのお相手は、ちゃんといますから」
純一、ともちゃん、みっくんの三人はキョトンとことりを見る。純一は例の男性ではないかと予想したが、ことりの提案は、そんな純一の想いをはるか上をいくものであった。
「お相手は ― ここにいるもうひとりの恋の指南役さんです!」
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