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「ふふっ…はぁー面白い」
ひとしきり笑った彼は笑いすぎて涙が出たらしく、それを拭くため眼鏡を外し前髪を掻き上げた。
─ドキッ
やっば…ちょ、
そんな漫画見たいなことある?
ずげぇ美少年…
「……」
「ん?どしたの?」
「っ…え!?」
やばい…見とれてた。
「俺の顔に何か付いてる?」
「い、いやそういうわけじゃ…」
ドク、ドクと心臓が鳴るのがわかる。
な、に…この感じ。
「?」
涙を拭き終わると、また眼鏡を掛けてしまった。
あ、ちょっと残念…
って!だから何なの俺!
─ドンッ
「っあ、すいませ…っ!?」
顔が赤いのを見られないように下を向いて歩いていると、誰かと肩がぶつかった。
その相手に謝ろうと顔をあげると…
「いったいなぁ~、骨折れちゃったよ~」
明らかに不良っぽい男達の集団がいて、俺がぶつかったであろう人が、凄い形相で俺にガンつけてくる。
どどどどうしよう…!
一気に血の気が引いて、冷や汗が半端ない。
「病院代ちょうだいよ~…ん?
…ふーん、結構可愛い顔してんじゃん」
「…ひっ!?」
急に顎を掴まれて顔をあげさせられ、ギリギリまで顔を近付けてきた。
ちょ、怖すぎ…!
─パシッ…
…へ?
急に俺の顎を掴んでいた手が離れ後ろにグイッと引っ張られた。
「…汚い手で触ってんなよ」
「…は?何言ってんだテメェ」
ちょ、えぇぇぇ!?
俺を引っ張ったのは紛れもなく緒方くんで、しかも不良相手に物凄い発言をしている。
「行くよ、真田くん」
「っえ!?ちょ、緒方くん!?」
勢いよく手を引かれ、いきなり走りだした。
「待ちやがれコラァ!」
ひぃぃぃ…!
すげぇ追い掛けて来てる…!
「ハァ、ハァッ…おお緒方くん、どこ行くの!?」
「…さあ?」
「えぇぇぇ!?」
「とりあえず走って!」
「う、うん…!」
てゆうか、緒方くん足速い…!
ついていくだけで精一杯だった。
「逃げてんじゃねぇぞコラァ!」
なんか…誘導されてるような…
…あっ!
「おおお緒方くん、やばいよこっち行き止まりだ…!」
「えっ、…この辺の道わかんないからなぁ」
何でそんな冷静なの!?
行き着いた場所は、不良のたまり場で有名な空き地だった。
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