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「はぁ…はぁ、やっぱ無理だったか」
家を出て一応全力で走ってはみたが、やはり電車は行ってしまったようだ。
時計を見ると、次の電車まで約20分近くある。
…しょうがない、待つか。
普段は寝坊なんてしないのに、何で寝坊したかっていうと…
今でも思い出すと鮮明によみがえってくる昨日の記憶。
昨日、いつも通り起きていつも通り学校に行って、そしたら転校生が来て…それが『緒方馨』だった。
昨日1日が濃すぎて、なかなか眠れなかった。いつのまにか寝てたんだけど…いざ起きたら寝坊。んで今に至る。
『…秘密ね?』
─ドクン…
思い出すだけで、顔が熱くなって心臓が鳴る。
どうしちゃったんだろ…俺。
そんな事を考えながらボーッと駅のホームを眺めていると…
…え?
学校の方に向かう電車のホームとは真逆のホームに、見覚えある姿を見つけた。
迷っているのか、辺りをキョロキョロと見回している。
すると丁度そちらのホームに電車が来て、それが真逆だとも知らず乗ろうとしていたので、思わず声を掛けていた。
「…緒方くん!」
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