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「…大丈夫?」 駅員さんに痴漢を引き渡してきた緒方くんが、ベンチに座る俺を心配そうに覗き込んだ。 「…ん、大丈夫」 「……何で早く言わないの?」 「…え?」 なんか…怒ってる? 「何で言わなかったの?」 「っ、だって…男のくせに痴漢に遭うなんておかしいでしょ?それに慣れてるから…」 「…そういう問題じゃないよ」 「え?」 やっぱり…なんか 「…行こ。ますます遅刻しちゃうよ、立てる?」 「う、うん…」 駅から出て学校まで歩く途中、緒方くんは一切口を開かない。 やっぱり…なんか怒ってる。 でも何で? 理由もわからないまま学校に着いた。もちろん大遅刻だった。 でもそんな事より…明らかに怒ってる緒方くんが気になってしょうがなかった。  
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