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突然のことで何が起こったのか理解できなかったが、しばらくしてようやく、抱き締められてる、ってことに気がついた。
「…お、がた…くん?」
ギュッと抱き締める力が強くなって、少し苦しい。
でも何故か…凄く心地いい。
「…ごめん、ひとりで勝手に怒って」
「…え?」
「…もっと早く気付けばよかったってすごい後悔してるくせに、何で俺を頼ってくれなかったんだって勝手に苛ついて…矛盾してるよね」
「なに…?」
緒方くんの言ってることがよく理解できない。
どうゆう意味…?
「…ううん、何でもない。ただ…」
「ただ…?」
「もうちょっと周りを頼ってもいいんじゃない?」
そう言って体は離され、頭を軽くポンポンとされる。
─ドキッ…
「頼…る?」
「そ。少なくとも俺は、頼られて嬉しい奴だから」
そう言って微笑む緒方くんの笑顔はいつもの優しい笑顔で…。
多分、もう怒ってないんだってわかった。
「…約束、次は俺を頼ること」
そう言って小指を差し出す緒方くんが、なんだか可愛くて…
「…うん、わかった」
差し出された小指に自分の小指を絡め、ギュッと強く結んだ。
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