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─ガラッ…
教室に入ると、ついさっき2時間目が終わったのか、教室内はざわざわとうるさかった。
「あー!玲ちゃん遅刻ー!」
「…悪かったな」
予想通り、入った瞬間千尋が馬鹿デカい声で絡んできた。
「玲寝坊~?」
「おせーよ、もう2時間終わったぜ?」
「ごめんごめん、寝坊した!」
色んな人からいじられながら自分の席に着く。
「…あれ?馨ちゃんも一緒?」
「…へ?かおるちゃん?」
「馨ちゃんでしょ?緒方馨ちゃん」
俺の後ろから入ってきた緒方くんを指差しながら言う千尋。
えぇぇぇぇ、馴れ馴れしすぎないか!?
「ねぇ馨ちゃん、何で玲ちゃんと一緒なの?馨ちゃんも寝坊?」
いつのまにそんな仲良く…
「うん、寝坊…かな」
「一緒に来たの?」
「…うん、ちょっとね」
チラリとこちらを見てニヤッと笑う緒方くんに、何だか顔が熱くなった。
「てゆうか玲ちゃんと馨ちゃんいつの間に仲良くなったのー!?ずるいずるい!玲ちゃんずるい!」
「いや、その、なんてゆうか…」
まさか、昨日不良から助けてもらって、今日は痴漢から助けてもらったなんて言えないし…。
「昨日学校案内してもらった時に仲良くなったんだ」
千尋の対応に困っていると、横から緒方くんが言った。
「そんで今日は、俺が電車乗り間違いそうになったのを助けてくれたの」
た、助かった…
「ふーん、そっかあ!てことは馨ちゃん乗る駅一緒?」
「うん」
「ならさ!一緒に行かない!?」
「「え?」」
俺と緒方くんの声が見事に重なった。
「いいじゃんいいじゃん!多い方が楽しいよ~!」
えぇぇぇぇ!
何言いだすんだコイツ!
「…クスッ…いいの?一緒に」
思わず口が開いていた俺を見て、笑いながらそう言いだす緒方くん。
「もっちろん!これからよろしくねっ!」
「うん、よろしく」
なんか俺…疎外感が…。
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