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「多いですよ、そういう方は。
だから我々の商売が成り立っているんです。
合法ですし、安心してください」
そう言ってにっこり微笑むヒカルは、驚くほど綺麗な顔をしている。
長めの前髪を軽く流し、垂らした髪は顔を縁取る宝石の様に艶やかで、瞳の輝きをいっそう引き立てている。
女性はうっとりとヒカルを見つめた。
「では、契約書に記入をお願いします。パートナーの派遣ですので、少し細かい記入ですがご了承ください。本人確認書類とご印鑑もお願いします」
女性は我に返り、慌てて記入を始めた。
桜井美優
28歳
世田谷区
桜井物産秘書課勤務
年収1200万
「へぇ…桜井物産の?」
「ええ。」
光はなるほど、と考えた。
円高で輸出企業に厳しい状況が続いていた。
桜井物産も不況の煽りを受けて、同業他社と統合する道を考え、結果政略結婚…。
昔からよくある事だか、今の時代にもあっているとはな。時代錯誤じゃないか?お相手はどこだろう…
ヒカルは少し考えた。
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