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出逢い
4月8日――
~始業式~
(綺麗だなぁ…)
満開になった美しい桜の木を眺めながら私はゆっくり歩いて、こんな日は何かいいことが起こらないかなぁと思っていた。
その時
「ひかり!!」
桜の花びらがヒラヒラと舞い散る中、聞き慣れた声と足音が聞こえてきた。
「健汰、おはよ」
「おはよ、じゃねーよ~…」
「え?」
「始業式の日の登校中にマネージャーの仕事説明するからって言っただろ~何で先行くんだよー…」
健汰は呆れたようにうなだれた。
最初は何のことかさっぱり分からなかった私はふとマネージャーの件について思い出した。
「え…ぁあ!!ごめん!!!」
「はぁ…ま、いーや…じゃあ説明すんな。マネージャーの仕事はそんなに難しくないよ。主に部室のカゴに入れてある洗濯物を洗ったりボールを磨いてもらったりドリンクを作ってもらう。あとは部員から頼まれることをこなしてくれればいい」
「うん」
「ドリンクの作り方は部室に置いてあるノートに書いてるから読んどいてな」
「了解~」
「それから、明後日は入部式だ」
「確か、私も紹介してくれるんだよね」
「あぁ、そのつもり。だけど今日は部長に放課後挨拶しにいくからな…先に帰んなよ?」
「ははは…帰んないよ~…多分」
健汰に睨まれ苦笑いを浮かべながら曖昧に答えると、
「先帰ったら怒るからなぁ!!」
と、悪戯な笑顔を私に向けて笑った。
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