理由

18/18
374人が本棚に入れています
本棚に追加
/113ページ
「高橋くん大丈夫…?」 私は座り込んでいる高橋くんに駆け寄って問い掛けた。 だけど高橋くんは何も答えず座り込んだまま下を向いていて表情すら見えなかった。 「どっか怪我した??」 「何で…」 「え?何?」 「何で来たんだよ」 高橋くんの声は少し怒っているように聞こえた。 私がここに来たことに怒ってるのかな…。 「だって高橋くんが心配だったから…」 「アンタが来たら俺はアンタが心配で仕方ないじゃん…」 確かに…私が来ても邪魔になっただけだった。 「うん…ごめん…でもね」 「…何」 「その“アンタ”とか、“先輩”って呼び方やめよ」 「今、関係なくね…?」 高橋くんは呆れたように笑いながら言った。 それでも私は兵藤くんに話を聞いてから呼び方については気になっていた。 1日しか変わらないのに先輩なんておかしい。 「いいの!!だって私たち誕生日1日しか違わないらしいよ?私が先輩って呼ばれるのおかしいでしょ?」 「まぁ…」 「だから、下の名前で呼んでよ!」 「え…」 「ひかり、だよ?わかった!?」 「わ、わかった…  じゃあ…ひかり…も俺のこと名前で呼べよ」 「え」 「不公平だろ」 「わ、わかった」 私は少し嬉しかった。 何でこんなに嬉しいんだろう。 やっぱり好きだからかな…? それから私たちは名前で呼び合うようになったけど、やっぱり透くんは私の名前のあとに先輩をつけて呼んでしまうくせがあるらしい…。
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!