プロローグ

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「おじいちゃん…どうして穴にはいっちゃだめなの…?」 散歩の途中、サラサラの黒髪に白いワンピースがよく似合う6・7歳ほどの可愛らしい少女が老人に問い掛ける。 「あの穴…?あぁ!神社の裏にある洞窟のことかい?」 老人は微笑みながら少女を見つめると少女はまた問い掛けた。 「うん、あのおっきい穴…どうしてはいっちゃだめなの?」 「あの穴には蟲さんがいるんだ。とってもとっても怖い蟲さんがね…だから絶対に入っちゃ駄目なんだよ?」 老人の話を聞いて怖くなったのか、少女は老人の手を強く握り締め老人にくっついて… 「うん…ぜったいはいらない…こわいもん、ねぇおじいちゃん…帰ろ?」 「そうだね、帰ろうか…」 いつも微笑んでいる老人も、その洞窟の話をするときだけは…どこか哀しい目をしていた。
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