骸島探索

11/14
前へ
/60ページ
次へ
神社の奥にある林道を進んで行くと、先程佐々木さんが言っていた湖に到着した。 湖は思ったより広く、水がとても澄んでいて美しい。 「いゃ~、まさかこの島でこんな綺麗なものが見られるとは思わなかった…なぁ依子。」 「はぃ、先程の建物などは刺激が強かったですから…丁度良いですわね。」 宮脇夫妻が湖のほとりで話していた。相変わらず仲がいいな…晴夫さんと依子さん。 僕は千夏の姿を確認すると、早足で近付いていく。 千夏は湖をずっと見ていた。僕には気付いていないようだ。 「ち~な~つ~?」 「え…?あ!!ユウ!!どうしたの?」 「どうしたのじゃないよ、ひどいなぁ…置いてくなんて。ショックだったなぁ~…スゲー凹んだし…」 僕は千夏に意地悪をしてみる。 「あ…ご、ごめんなさい!!」 千夏は焦っているみたいだ。あまり意地悪すると可哀相かな。 「な~んてね!!ははっ…冗談冗談♪」 「も~!!ひどいよ!!」 「ごめんごめん!!……お爺さんのこと考えてたんだろ?」 「…うん。」 千夏は再び澄んだ水面を見つめながら話を続けた。 「昔…よくお爺ちゃんが連れて来てくれたの、ここに」 「千夏のお爺さんって…どんな人?」 「お爺ちゃん?お爺ちゃんは…物知りで、暖かくて、怒ると怖いけど…普段はとっても優しくて…」 「大好きだったんだね…お爺さんのこと。」 「うん、髪は薄かったけどね。」 千夏は無邪気に笑っている。その純粋無垢な笑顔につられて僕も笑顔になっていた。 「え~、お取り込み中すぃませ~ん。」 「き、桐島さん!?」 振り向くと桐島さんが荷物を抱えて立っていた。 「突然後ろから話しかけないでくださいよ!!びっくりするじゃないですか!!」 「いゃ、なんかラブラブオーラが出てたもんだから…」 「からかわないでください!!それで、要件は何ですか?」 「まぁそんなに照れるなって、この先に小屋があるらしいんだけどよ…ユーイチも行かねぇか?」 小屋か…何か新しい情報が入手できるかもしれないな。 「じゃあ…行きます。千夏は?どうする?」 「私…もう少しここにいる、ゴメンね。」 「気にするなって、じゃあ行ってくるよ。」 千夏と別れ、僕と桐島さんは小屋に向かう。 『蟲』について何かわかればいいんだけど…
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

931人が本棚に入れています
本棚に追加