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その部屋は…部屋中が血だらけだった…
壁一面に飛び散っている血痕、そして………
体の所々がちぎれ、ミイラのように朽ち果てている…死体…
「うっ…」
僕は思わず手で鼻と口を塞いだ。たちこめる腐敗臭と…そのあまりにも惨い光景に吐き気がした。
「ッ…こいつぁ…だいぶキツいな…」
桐島さんも口元をおさえている。やはり桐島さんも気持ちが悪いようだ…
「ユーイチ…帰るぞ。」
「いろいろ調べなくていいんですか…?」
「こんなとこに長くいられるかよ…行くぞ。」
「はぃ…」
僕達は急いで小屋から出る。僕もあんな場所に長居したくはなかった…
「あ、おかえりなさい♪何かありましたか?」
「…いゃ、何もなかったぜ。な?ユーイチ。」
「え…えぇ、荒れてるだけでした。」
僕達は嘘をついた。腐敗し、朽ち果てた死体があったなんて…何も知らない結奈さんにわざわざ教える必要はないと考えたからだ。
「そうですか~…では神社に戻りましょう♪」
結奈さんの笑顔のおかげで気分は先程よりも良くなってきた。
そして僕達は神社へと向かって歩き始める。
神社に戻る間、僕は部屋で見た死体について、あることが気になっていた。
あの死体……体の所々が…無かった………
切られた?いゃ、そんな感じではなかった…そう…むしりとられた………食いちぎられたような…そんな感じだ…。
そんなことを考えているうちに、僕達は宥蟲神社に到着していた。
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