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…佐々木さんだった。
しかし、何か様子がおかしい…
「佐々木さん!!心配しましたよ、さぁ早く中に…」
「…!?そいつを入れるなッ!!」
突如、榊さんが怒鳴りながら扉を閉め、鍵をかける。
ドン…ドン…
ドン…ドン…
佐々木さんは依然としてドアを叩き続けている…
「榊さん!!どうして閉めちゃうんですか!?」
結奈さんが急いで鍵を開けようと手を伸ばした、榊さんはその手を退けて喋り始めた。
「見てなかったのか!?アイツは瞬きをしてなかった!!それに…呼吸もな…」
「そ…んな…どうしてわかるんですか!?」
「…俺はボクサーだ、相手の呼吸は常に意識してないといけないからな、だからわかるんだよ…アイツは息をしていない!!」
榊さん…やっぱりボクサーだったのか…
いゃ、そんなこと今はどうでもいい。
僕は重い空気の中、口を開いた。
「じゃあ…あの佐々木さんはいったい…」
「知らん、ただ…奴が扉を破る前に奥へ逃げた方が良さそうだ。」
「しかし…佐々木様も大切なお客様ですし…」
山本さんは悩んでいる。他の皆も俯いていた…
「死にたい奴は残ればいい、悪いが俺にはやることがある…死ぬわけにはいかない。」
そう言い残すと榊さんは別館へ向かって歩き始めた。
「ユウ…」
千夏は不安そうに僕の意見を待っていた。
「行こう…榊さんの言うとおり逃げた方がいいかもしれない。普通ならいくら佐々木さんでも『開けてくれ』ぐらい言うはずだ…」
「わかった…ユウが行くなら…私も行く。」
「千夏…」
「俺も行くぜ、死にたかねーからな。」
「桐島さん…」
「私も行くわよ、まだ人生楽しみたいもの。」
「相川さん…」
「俺も、なんかヤバソーやし…行くで。」
「田辺さん…」
「ワシらも行くぞ、なぁ依子?」
「はぃ…アナタについて行きますよ。」
「晴夫さん…依子さん…」
「わ、私も行きます!!心配だけど…確かに何かおかしいよ…佐々木さん…」
「結奈さん…」
「私も…私も行きます…佐々木様には申し訳ありませんが、妻と…産まれてくる子供に会うためにも、無事に帰らないといけませんので…」
「山本さん…。でわ皆さん、行きましょう。急いで!!」
僕達は急いで榊さんの後を追った。
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